地元が舞台のミステリー小説!30年前に出版されていたらしく、今回手に入れたのは79版(刷じゃなくて版ってどゆこと?)でした。長く読まれ続けているんですね。
フィクションとは言うものの、その舞台の高千穂(宮崎県)について入念な調査がなされていることが感じとられる説明が多く、自分が物心ついた頃から見聞きしてきた「高千穂観」って、実はこの小説がルーツなんじゃないの?と勘繰りたくなるくらいです。
バラバラに散らばった事実を、一個人(一権力と言い直しても)の視点から切り取って意味をつけて紡ぐのが物語であり歴史なんですよね。どれほど権威のあるとされる書物でも、全ての真実を網羅できるものではないし、時には主観が混ざり一方的にもなる。大きな声ばかりを聞くのではなく、小さくても美しい音色を奏でる者の語る物語に耳を傾ける努力を続けていれば、この国は(大きく出たな!)まだ何とかなっていくと思います。